♯008 星に願いを…

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…昔々、ある船に大勢の商人が乗っていました。

商人達はそれぞれに扱っている商品を持っていましたが、一人だけ何も持たない男がいました。ある商人がその男に尋ねました。

「貴方は、一体何を売っているのですか?」

「私が扱っている商品は、世界で最も優れている物です。」

そこで商人達は男が寝ている間に荷物を調べてみたのですが、特に価値ある物は見付かりませんでした。商人達はこの男は愚者なのだと皆で笑い者にしました。

航海の途中に船が難破しました。商人達は命からがら陸に辿り着きましたが、大事な商品は全て流されてしまいました。

さて、例の男は近くの町のシナゴーグに向かいました。そこで町の人々は驚嘆しました。男の話す知識や知恵は、どんな学者や商人のそれよりも優れていたのです。男はとても尊敬され、もてなされました。そして男は賢者として富を築いたのです。

商人達は口を揃えて言いました。

「なるほど、貴方が言っていた事は正しかった。私達は商品を失った。しかし、貴方の商品は生きている限り失われる事はない…」

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私…ぶっちゃけ…お金大好きです。

いや~すいません…でも、これって本音なんですよね~はははっ!

ただし今はお金の流れが非常に悪い!なんと言っても100年に一度の大不況!リーマンショック以降世界的に拡がったこの金融危機は、株価の暴落や大手企業の倒産など日本にも多大な影響を与え、巷では職を求める人達で溢れんばかりです。

日銀の為替介入も結局なんだったのか。円高の波は輸出業者を圧迫し、高級ブランド品崇拝者の間では円高の神様まで登場する始末。エンタの神様より面白いジョークですが、日本経済破綻なんてのはエンタメの世界だけに止めておいてほしいものです。

はたして「失われた20年」を取り戻す事は出来るのでしょうか?もちろん、この御時世に右肩上がりの企業が存在する事も事実ですが、やはり多くの企業にとって重く圧し掛かるデフレの螺旋!なかなか景気回復への糸口が掴めない状況です。

そんな中、エセ投資家達は億万長者の夢とマウスを握り締め日夜トレーディングに勤しむものの、損切り出来ないからと滝に打たれて精神修行…市場が進化しても人間がそれに追い付けてないのかと悲愁したくもなりますが、実際大金を手にしている人もいるから大したものです。

つまるところ現代社会は格差社会!このまま人々は「持つ者と持たざる者」のディバイドに翻弄されるだけなのでしょうか?「奴は何か持っている…」なんてのは最近よく耳にしますが、一体何を持っていれば良いのでしょうね?

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「金融の歴史」と聞いて最初に思い浮かべるのはユダヤ人の存在ではないでしょうか?「高利貸し」として名高い彼等は、その類いまれな才能で金融技術の発展に大きく貢献しています。

それはもちろん、永い迫害の歴史の結果であって、当初は彼等も仕方なく金融業に従事していたのであって、シャイロックだっておっさんの肉1ポンドが本当に欲しかったのかどうか分かりませんが、彼等が後に「赤い盾」の財閥を築いた事が何よりもそれを物語っていますよね!金融市場を牛耳るユダヤ人…なんて誇張も強ち間違いじゃないのも知れません。

それはさておき、彼等ユダヤ人は非常に「学び」を重んじる民族であるという事は紛れも無い事実です。彼等が様々な分野で優秀な成績を残している事がそれを裏付けていますよね!「学び」が最も崇高なものだという「教え」は、彼等が拠るべき国家も独自的な軍事力も持たないディアスポラの歴史を生き抜く為の大切な手段の一つだったのかも知れません。

それはともかく、彼等の「教え」の中には「お金」に関する格言や諺がとても多い事には驚かされます。お金に対して「心から欲していても、心の何処かで不浄な物と捉えてしまっている…」なんて事はよく聞きますが、彼等曰く「お金に善悪は無い。ただ機会を提供する物である!」との事。全てはその「手段」を扱う人次第という事なのかも知れません。

それにつけても、「お金」とは一体何なのでしょうね?

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「お金」が「人間社会」において必要不可欠である事は今では疑う余地もありませんが、かつては存在していなかったのですから面白いものです。

そもそも「社会」が構築されていれば、何かしらの「政治」や「法」が存在するわけですが、古代的な社会においてそれは神か、或いは血族なのか、何れにせよ「絶対的な何か」に対する供物や奉仕は言わば義務であり、それに背く者は罪人でした。そういった政治的・宗教的な責務に対して、ある一定の行為や使役、若しくは計量可能物を以て「支払」に充てる事によって、責務の解除を図っていたのです。

「支払」に計量可能物を充てるとすれば、それらを蓄蔵しておく事は言わば必然です。それは将来への対策、つまり「価値の保蔵」を行う事によって如何なる時にも責務に対応する事が出来るという事です。また、それら蓄蔵された「富」が個人や集団の威厳や信用を高める事にも繋がったでしょう。

しかし、計算・比較手段が無ければ蓄蔵された「富」の管理など効率よく行えるはずもありません。何故ならそれが計るものは、大きさでもなければ長さでも重さでもなく「その重要性はどれだけ大きいか?」という事だからです。つまり「価値の尺度」機能がそれを可能にするのです。

最も、経済取引的な物々交換に限界を感じた結果、そこには「交換の媒介」になるような何かが必要になったという事は、現在に生きる私達にも良く分かる話ですよね!

人間の多種多様な価値観や様々な社会制度における活動を客観的に捉え、かつ効率的に行う為には何かしらの「手段」を発案する事は当然の結果だったのでしょう。

やがてそれらの「価値」は凝縮され、全ての目的は「お金」という形で統一されていったのです。

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人間の利己心が重なり合って経済全体が発展することを「見えざる手」と表現したのはアダム・スミスですが、その後も多くの学者達が独自の理論を打ち立てては経済の実体を捉えようと試みるものの、なかなか一筋縄でいかないのは、やはり経済活動に人間心理が深く影響しているからでしょう。しかもそのエネルギーは絶大で、移ろい易く染まり易い人間心理はやがて大衆のうねりとなって社会そのものを大きく揺さ振ります。

人間心理において特に強いエネルギーを持つのが「欲求」であり、そもそも価値観の根源も欲求であり、すなわち人間活動の主な動機は欲求を満たす事から始まるわけですが、最も低層である生理的欲求はまさに生きる事そのものであって、それは食べる欲求へと繋がります。

その欲求が満たされない時、それは惨めであり憂鬱であり、時に死の恐怖すらチラつかせるものですが、それら「餓え」の原因が貧困であるならば、そうならないように何かしらの行動を起こすわけであって、それは生産であり交換であり、時に略奪という行為が行われる事もありますが、それら人間活動の経験を経て、より満たされようと欲するわけです。

つまり、欲求は低層なものから高層なものへと移行していくのです。しかし、それが満たされなければ「餓え」るのであって、結局のところ人間活動とは「餓え」との戦いなのかも知れません。

だからこそ人間は「学ぶ」のです!

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…物がいっぱい詰まった袋は重い。しかし、一番重いのは空の財布…

…財産を持つと心配事もそれに応じて増えるが、財産が全く無い方が心配事は多いものだ…

…金は決して全てを良くはしない。と言っても金は全てを腐らせはしない…

…どちらかと言えば金を稼ぐのは易しい。使い方こそが難しいのだ…

…冬に薪を買う為の金を、夏に遊んで使うな!…

…アヒルを食べて借金取りから逃げ回るよりも、キャベツを食べて堂々と町を歩いた方が良い…

…貧乏は恥ではない。しかし、名誉だと思うな!…

…金持ちになる方法が一つある!明日やる仕事を今日やり、今日食べる物を明日食べる事だ!…

…商人になったらこの言葉を覚えなさい。“私は貴方を完全に信頼しています。だから現金で払って下さい”…

…人は金銭を時間よりも大切にするが、その為に失われた時間は金銭では買えない…

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旧約聖書の昔から続く独特なパラダイムを持った彼等ユダヤ人の格言は、民族や宗教、遥かな時代を超えて私達の心を捉えます。そこには人間心理に対する深い洞察がありました。逆境の時代を経て、ユダヤの教えと共に再びその文化を開花したアブラハムの子達は、学問、文学、技術などの「価値」を創造すると共に「経済」にも確かな軌跡を残したのです。

21世紀の現代、お金はあらゆる価値を吸収して「価値その物」に取って変わろうとしていますが、本来お金は道具であるわけで、それは目的ではなく手段であるという事、価値は価値のままで良いという事を見失っているという事でしょうか?

だからこそソロモンは夢に現れた神に対して、人民を公平に裁く為の「知恵の心と判断する心」を願ったのかも知れません!「人間社会の価値は財産や権力だけではない」と言わんばかりに!モーセだってお金が価値の全てだと考えていたならば「出エジプト」する必要はなかったはずです!

人間心理がこれからも変わる事がないのなら、人間は様々な階層分野において欲求の満足を求め、餓えの恐怖から逃れ続けるのでしょう。数百万年の憂鬱は今後まだまだ続くのです。しかし、それは決して後ろ向きなものではなく「生」に対して積極的なものであり、最も人間らしい心理であり、行動であり、戦いなのです!それは語り継ぐべき人類の歴史です!

お金とは、多種多様な価値観を共有する手段です。

ですが、人間社会の価値を「お金以外の方法」で共有出来るのならば、それは素敵な事かも知れませんね!

それにしても…お金ほしいな~…

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参考

◆「ユダヤ5000年の教え」(実業之日本社)
ラビ・マービン・ケイヤー 編著   加瀬英明 訳

◆「人間の経済Ⅰ ―市場社会の虚構性― 」(岩波書店)
「人間の経済Ⅱ ―交易・貨幣および市場の出現― 」(岩波書店)
カール・ポランニー 著  玉野井芳郎、栗本慎一郎、中野忠 訳

◆Wikipedia

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